旅する、集める、歴史を知る。

なぜベローチェには黒ねこがいるのか?由来をたどると「シャノアール」に行き着いた

ベローチェでコーヒーを飲んでいると、やたらと黒ねこが目に入ります。

店の看板にも黒ねこ。カップやお皿にも黒ねこ。店頭を見れば、バッグやぬいぐるみなどの黒ねこグッズまで並んでいます。

ここまで黒ねこがいると、さすがに気になってきます。

「そもそも、なぜベローチェには黒ねこがいるんだろう?」

猫の日に合わせて生まれたキャラクターなのか。それとも、何か昔からの理由があるのか。

気になって調べてみると、この黒ねこは最近になって生まれたマスコットではありませんでした。

そのルーツは、カフェ・ベローチェが誕生するよりも前。今から60年以上前まで遡ります。

黒ねこのルーツは、1965年の「珈琲館シャノアール」

黒ねこの由来をたどると、1965年に東京・福生で誕生した「珈琲館シャノアール」へ行き着きます。

現在のカフェ・ベローチェにつながる、いわばルーツとなる店です。

そして、この「シャノアール」という名前こそが、黒ねこの正体でした。

フランス語の「CHAT NOIR(シャ・ノワール)」。「CHAT」は猫、「NOIR」は黒。つまり、「黒猫」という意味です。

カフェ・ベローチェの公式サイトでも、前身である珈琲館シャノアールの店名がフランス語で黒ねこを意味することから、黒ねこのシンボルが生まれたと説明されています。

つまり、今のベローチェで見かける黒ねこは、単に「猫がかわいいから」採用されたキャラクターではありません。

会社の原点である「シャノアール」という名前そのものから生まれたシンボルだったのです。

実は黒ねこのほうが、ベローチェより先輩だった

ここでもうひとつ面白いことに気づきます。

珈琲館シャノアールが誕生したのは1965年。一方、カフェ・ベローチェが誕生したのは1986年です。

1986年、東京・代々木にセルフサービス型のコーヒーショップとしてカフェ・ベローチェがオープンしました。

ちなみに「ベローチェ(VELOCE)」は、イタリア語で「迅速」という意味。スピーディーな商品提供と気持ちのよいサービスを大切にする姿勢が、その名前に込められています。

歴史を並べると、

1965年:フランス語で「黒ねこ」を意味するシャノアールが誕生
1986年:その歴史を受け継ぐカフェ・ベローチェが誕生

という順番になります。

つまり、黒ねこのほうがベローチェより21年も先輩なのです。

普段何気なく見ている黒ねこですが、実はベローチェが生まれる前から会社の歴史を見守ってきた存在でした。

2015年、黒ねこが「ふちねこ」になった

そんな黒ねこを、より身近な存在にしたもののひとつが「ふちねこ」です。

コーヒーカップの縁に座ったり、ぶら下がったりする小さな黒ねこのフィギュア。ベローチェで見かけたことがある人もいるかもしれません。

「ふちねこ」が最初に登場したのは2015年。当時の株式会社シャノアールが創業50周年を迎えたことを記念して実施されたキャンペーンでした。

対象店舗でドリンク3杯分のレシートを集めると、ふちねこ1匹と交換でき、5種類・合計50万匹が用意されました。

当時のプレスリリースにも、「シャノアールとはフランス語で黒猫という意味です」と説明されています。

つまり「ふちねこ」も、猫人気に乗って突然誕生したキャラクターではありません。

会社名と黒ねこの歴史を、親しみやすい形にしたものだったのです。

2024年、黒ねこがついにベローチェのロゴへ

黒ねこの歴史の中でも、大きな転換点となったのが2024年6月10日です。

この日、カフェ・ベローチェはブランドロゴを刷新しました。

現在よく見かける、マグカップの後ろに黒ねこが佇んでいるロゴです。

黒ねこ自体は以前からベローチェのシンボルとして親しまれていましたが、ここで正式にブランドロゴの中心的な存在になりました。

このデザインにも意味があります。

C-Unitedによると、黒ねこには「休息のひとときに寄り添う」存在でありたいという思いが込められており、利用者にとって身近で癒やしの存在になることを目指しているそうです。

コーヒーを飲む人のそばに、黒ねこが静かに座っている。

そう考えて改めてロゴを見ると、黒ねこの配置にもちゃんと意味があることが分かります。

さらに興味深いのが、ロゴを変更した「6月10日」という日付です。

この日は、前身である「珈琲館シャノアール」の創業日でもあります。

新しいロゴへ変わった日まで、黒ねこの歴史とつながっているのです。

黒ねこは2025年に「60歳」を迎えた

1965年から受け継がれてきた黒ねこは、2025年に60周年を迎えました。

カフェ・ベローチェでは、それを記念して「黒ねこ60キャンペーン」を開催。公式サイトでも「実は……黒ねこは60歳!?」と紹介されています。

もちろん本物の猫の年齢ではありません。

1965年に「珈琲館シャノアール」のシンボルとして誕生してから、60年という意味です。

店の名前や業態が変わり、喫茶店からセルフサービス型のカフェへとスタイルが変化しても、黒ねこは受け継がれてきました。

企業のシンボルが60年にわたって残り続けていると考えると、なかなか珍しい存在ではないでしょうか。

そして2026年、ベローチェは40周年

黒ねこの60周年に続き、2026年にはカフェ・ベローチェ自体が40周年を迎えました。

40周年を記念して発売された「黒ねこサマーバッグ2026」のテーマは、「40年の歴史をめぐる旅をする黒ねこ」。

さらに、黒ねこのぬいぐるみやマスコットなど、40周年を記念したグッズも展開されました。

1965年に店名から生まれた黒ねこは、時代を越えて受け継がれ、今ではすっかりカフェ・ベローチェの「顔」になっています。

黒ねこは、ベローチェの「記憶」だった

なぜベローチェには黒ねこがいるのか。

調べる前は、単純に「猫をモチーフにした人気キャラクターなのかな」と思っていました。

しかし、その由来は思っていたよりもずっと古いものでした。

始まりは1965年の「珈琲館シャノアール」。フランス語で「黒猫」を意味する店名から黒ねこのシンボルが生まれ、その後カフェ・ベローチェへと受け継がれていきます。

2015年には「ふちねこ」となり、2024年にはブランドロゴに登場。60周年、そしてベローチェ40周年を迎えた現在では、カップやお皿、バッグ、ぬいぐるみなど、さまざまな場所にその姿を見ることができます。

そう考えると、黒ねこは単なるマスコットというより、ベローチェが自分たちの原点を受け継いでいくための「記憶」のような存在なのかもしれません。

次にベローチェへ行ったときは、店内にいる黒ねこを少し探してみようと思います。

いつものコーヒーの時間に、ちょっとした楽しみが増えました。

関連記事

参考文献・参考資料