「風景印」というものを知っているだろうか。
もしかしたら初めて聞いた方も少なくないのでは。
風景印とは、各郵便局ごとにオリジナルのデザインをあしらわれた消印のことだ。
日本全国の約1万以上の郵便局で使用されていると言われており、コレクション性があるものとなっている。
今回は、僕も集めている風景印について紹介しようと思う。
風景印とは
風景印とは郵便局ごとにデザインの異なる消印の一種のことだ。正式名称は「風景入通信日付印」(ふうけいいりつうしんにっぷいん)という。
ますは東京中央郵便局と銀座郵便局の風景印を紹介する。
▼東京中央郵便局
東京中央郵便局の風景印はレンガ造りの東京駅と中央郵便局のあるKITTEビルのデザイン。
東京駅丸の内南口を出てすぐの場所に東京中央郵便局はあるので、この組み合わせなのだろう。
僕が一番最初に集めたのは東京中央郵便局の風景印なので思い出深い。

▼銀座郵便局
銀座郵便局の風景印は、銀座のランドマークである銀座和光の時計台、柳、ガス灯のデザイン。

通常はがきを出すと、郵便局名と日付が印字されている普通の消印が押印される。
風景印専用ポストなどの例外はあるが、基本的に風景印は郵便局にて申し出ないと押してもらえない。
郵便局ごとに異なるデザイン
風景印の魅力はなんといっても郵便局ごとにご当地色がでているデザインだ。
以下にいくつか風景印を紹介する。
▼鹿児島中央郵便局
鹿児島中央郵便局の風景印は、桜島と西郷隆盛像のデザイン。
ちなみに、この西郷隆盛像のデザインは、上野の西郷隆盛ではなく、鹿児島の西郷隆盛像だ。切手は桜島の写真。

▼出水郵便局
鹿児島県出水郵便局の風景印は鶴のデザイン。出水は鶴の渡来地として有名。切手も鶴にしてみた。

▼入来郵便局
鹿児島県薩摩川内市の入来郵便局の風景印は、茅葺き門、入来神舞、入来温泉のデザイン。
入来麓武家屋敷群にある茅葺き門や、入来の大宮神社に伝わる伝統芸能・入来神舞、約700年前から記録に残っている入来温泉など、入来の歴史がみっちり詰まっているデザインになっている。

▼京都中央郵便局
京都中央郵便局の風景印は、東寺の五重塔と舞妓さんの後ろ姿、大文字のデザイン。これは一目で京都を表しているデザインといえる。

▼大阪中央郵便局
大阪中央郵便局の風景印は、通天閣、大阪城、水晶橋のデザインでバラの形の変形印となっている。変形印とは円形ではない形の風景印のこと。
バラは大阪中央郵便局のある大阪市北区の花とのことだ。

▼神戸中央郵便局
神戸中央郵便局の風景印は、ポートタワー、神戸港、錨山、異人館のデザイン。神戸らしい港感溢れるデザインだ。

▼宮崎中央郵便局
宮崎中央郵便局の風景印は、一ツ葉海岸の白波、シーガイア、フェニックスのデザイン。

▼宇都宮中央郵便局
宇都宮中央郵便局の風景印は、松が峰教会のデザイン。もしかしたら餃子のデザイン案もあったのだろうか。

このように、風景印のデザインには地域の特色があらわれている。
切手との組み合わせも楽しむ!
風景印のデザインと合わせて切手を組み合わせを考えるのが楽しみの一つだ。
▼上屋久郵便局
鹿児島上屋久郵便局の風景印は、屋久杉がデザインされている。
見ての通り、切手のデザインも屋久杉。これは鹿児島の記念切手との組み合わせ。どちらにも屋久杉がえがかれており、組み合わせとしても満足。

▼安房郵便局
鹿児島安房郵便局の風景印は屋久杉がデザインされている。
組み合わせた切手も屋久杉のデザイン。これは205円する切手だが、どうしてもこの組み合わせにしたくて購入した。
この当時、風景印を一つ押印する最低費用は52円。約4倍の費用がかかってしまった。。

切手と風景印のデザインの組み合わせを考えるのはめちゃくちゃ楽しい。
集め方
直接郵便局に行く
切手(現在は62円以上が必須)、または切手が貼られている紙を持参し、郵便局に行き、押印してもらう。
僕の場合は、名刺サイズの無地の紙に切手を貼り、そこに押印してもらっている。名刺サイズだと、カードホルダーに入るのでコレクションしやすいし、眺めていて楽しい。

ちなみに、風景印を集める際はネットで情報を集めた。風景印が配備されている郵便局については、以下のサイトを参考にした。
・参考サイト:うししが丘ルネッサンス 郵便局めぐり
郵頼
郵頼(ゆうらい)とは郵送で押印依頼すること。
自分で行くことが難しい郵便局や、一般人立入禁止の郵便局(宮内庁内郵便局)などの風景印が欲しい場合に郵頼を行う。
返信洋封筒、切手(切手をはったハガキや紙)、依頼文を郵送してお願いする。
▼宮内庁内郵便局
宮内庁内郵便局の風景印は、皇居二重橋、新宮殿のデザイン。一般人が宮内庁に出入りするのは難しいので郵頼で手に入れたもの。

▼鹿島郵便局
離島である甑島(鹿児島県薩摩川内市)の鹿島郵便局の風景印。カノコユリ、ウミネコ、鹿島岸壁のデザインだ。あいにくカノコユリの切手は持っていなかったので、ユリの切手との組み合わせにしてみた。

郵頼を行うと、毎日ポストを見るのが楽しみになる。
さらに、郵便局の担当者さんによってはお礼の手紙が同封されている場合があり感動する。
離島の場合、「いつか島にも遊びに来てくださいね」と書いてあることがあり、いつか行こうという気持ちにもなる。
詳細な郵頼手順はこちら
特別印
特別印とは、風景印とは異なる消印、小型印や特印とよばれる。
小型印
小型印はイベント時に押印してもらえる消印のこと。正式名称は「小型記念通信日付印」(こがたきねんつうしんにっぷいん)という。
▼富士吉田郵便局 富士芝桜まつり
2014年に、「富士芝桜まつり」に行った際にイベント会場で押印してもらったもの。切手のデザインも富士山と芝桜の写真を使用し、小型印のデザインと合わせた。

▼銀座郵便局 くまもと切手展
このくまモンの小型印は、平成26年のスタンプショウで押印したもの。このイベントではくまモンの切手が限定販売された。


・スタンプショウとは?
公益財団法人日本郵趣協会の主催により、年に一回開催される、切手・スタンプなど郵便趣味ファンのためにイベント。風景印の出張押印や、海外の記念印の押印サービスが人気だ。
・海外の記念印
スタンプショウなどで、海外の郵政が参加している場合に押印してもらえる。
2015年のスタンプショウでは、以下のチェコ郵政による日替り小型印(人気アニメ「アマール」のデザイン)が人気であった。
▼チェコ郵政 アマール
チェコ郵政の小型印が押印できる機会などなかなか無いと思う。レアだ。

▼浅草郵便局 第39回<スタンプショウ2015>
浅草郵便局のアマール小型印も。かわいい。

特印
特印は記念切手が発行された際に押印してもらえる消印のこと。正式名称は「特殊通信日付印」(とくしゅつうしんにっぷいん)という。
▼東京中央郵便局 北陸新幹線(長野・金沢間)開業記念切手
2015年3月に発売された「北陸新幹線(長野・金沢間)開業記念切手」の特印。新幹線と東京駅の2種類のデザイン。もちろん切手のデザインも合わせて押印。


▼銀座郵便局 宝塚歌劇公演100周年記念切手
これは、平成26年、宝塚100周年の記念切手が発売されたときの特印。

さいごに
僕はたまに手書きの手紙を出すことがある。その時は風景印を押してもらうようにしている。
自分が手紙をもらう時に、風景印が押印されていると嬉しいからだ。
また、風景印は各地域の街の歴史や文化などの特色が凝縮されているデザインなので、一目でその地域のことがわかることが一番の魅力ではないか。
郵便局の廃止や、街の風景が変わってしまうことで、風景印のデザインが変更や廃止になる場合がある。
そのため、将来は貴重な資料になるかもしれない。ちなみに戦前は日本統治下の大陸にも風景印はあり、今は当時のことがわかる貴重な資料だ。
「あなたの街の風景印のデザインには何が描かれていますか?」
街の今を伝える意味でも、風景印という文化はこれからも残ってほしいものだ。
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