苔寺と鳳凰仰ぐ冬の旅 静寂と美と古都の思い出

冬の朝、京都への旅立ち

2016年12月29日のまだ暗い早朝5時、自宅を静かに出発した。6時26分のこだまに乗り、東京駅を後にする。京都駅に着いたのは9時14分。冷たい冬の空気が肌を刺し、これから始まる旅の予感に胸が高鳴った。

最初に向かったのは小山園の西洞院店。

出迎えてくれたのは、抹茶の香りが漂うバームクーヘン。

その深い味わいに、旅の疲れが一瞬で癒やされた。甘さと抹茶の苦味が絶妙に調和した一品で、旅の始まりにふさわしいと思えた。

次に向かったのは苔寺、正式には西芳寺というお寺だ。松尾大社駅から徒歩で向かった。

まずは腹ごしらえで蕎麦をいただいた。

13時に予約していた西芳寺の拝観に向かう。

苔寺の訪問には事前の申し込みが必要で、私は往復はがきで予約を入れていた。スティーブ・ジョブズも訪れたという特別な場所だ。

西芳寺は731年に創建された法相宗の寺院だが、1339年に夢窓国師によって禅宗寺院として復興された。日本庭園史上非常に重要な位置を占めるこの寺院は、国師の手によって精緻に設計された庭園が特徴だ。瑠璃殿や枯山水石組、縮遠亭など、その後の時代の庭園デザインに大きな影響を与えたという。

応仁の乱で建物は焼失したが、その後、織田信長の命によって天龍寺の策彦周良が再建を手がけ、存続することができた。江戸時代に至るまでに苔が庭を覆うようになり、現在では美しい緑のカーペットが庭園の大部分を飾っている。昭和44年(1969年)には、応仁・文明の乱で焼失した本堂・西来堂が500年ぶりに再建された。

庭園を歩きながら、その手入れされた苔の美しさに心を奪われた。この苔は庭師たちの手によって大切に育てられているのだと実感した。西芳寺の静寂と美しさは、訪れる者に深い平和と静けさを提供してくれる。

御朱印もいただいた。

次に訪れたのは、竹林に囲まれた地蔵院

衣笠山地蔵院とも呼ばれるこの臨済宗の寺院は、1367年に細川頼之によって建立された。

庭園は「十六羅漢の庭」と呼ばれ、頼之公の遺愛とされる平庭式枯山水庭園が広がっている。その庭は、羅漢の修行の姿を象徴的に表現しており、訪れる者を魅了する。

地蔵院を堪能した後、バスで嵐山駅まで戻り、電車で京都駅へと向かった。

その後は西院春日神社を訪れた。

833年に淳和天皇が仁明天皇に位を譲り、西院に移った際に奈良の春日四座大神を勧請して創建された神社だ。

淳和天皇の皇女、崇子内親王の病気平癒を祈願して以来、病気平癒や災難厄除けの守護神として皇室から崇められてきた。

ここでは、狙っていた藤と鹿の組み合わせの可愛らしい御朱印帳を手に入れることができた。

夜は、京都の風情ある街並みを散策し、ホテルで一日を終えた。

夜の街の散歩も楽しい。

宇治を巡る

翌朝、宇治へと足を伸ばした。最初に訪れたのは宇治橋郵便局で、ここで風景印を手に入れた。この風景印には、平等院鳳凰堂がデザインされており、美しい印影が旅の記念になった。

次に訪れたのは平等院鳳凰堂

藤原頼通が1052年に創建したこの寺院は、阿弥陀如来を本尊とし、西方極楽浄土を表現している。平安時代の仏教建築の最高峰とされ、その美しさに心打たれた。鳳凰堂は10円玉にも描かれており、その優美な姿を実際に目の当たりにすると、まさに日本の文化遺産であることを実感する。

鳳凰堂内部を拝観するためには別途拝観料を支払い、並んで待つ必要がある。内部の拝観は人数と時間が制限されており、毎回最大50名ずつ、20分ごとに案内される。内部に足を踏み入れると、荘厳な阿弥陀如来像が迎えてくれる。その静寂な空間で、時が止まったかのような感覚を味わった。

平等院のミュージアム鳳翔館では、改修時の映像や改修前の鳳凰が展示されており、非常に充実した説明を受けることができた。何よりも鳳凰堂の屋根にいる金色の鳳凰が非常に美しく、その姿を見るだけでも満足感を得られる。2014年に終わった改修前の鳳凰も素晴らしいが、やはり金色に輝く現在の鳳凰は格別だった。

ここではご朱印帳も購入した。

その後、宇治上神社 に向かった。途中、お茶屋で休憩。抹茶が冷たい身体に染み渡った。

橋を渡って宇治上神社へ。

宇治上神社は、菟道稚郎子、応神天皇、仁徳天皇を祀る神社で、その本殿は日本最古の神社建築だ。

菟道稚郎子は幼い頃から博識聡明で、父である応神天皇から大切に育てられた。兄である仁徳天皇に皇位を譲られたものの、その譲り合いから世の中が乱れ、心を痛めた菟道稚郎子は自ら命を絶った。その後、仁徳天皇が手厚く葬り、この地に宇治上神社が創建された。宇治川の東岸に位置するこの神社の拝殿は鎌倉時代、そして本殿は平安時代の建築で、その古さと美しさに心を奪われた。

宇治上神社の後は「WOCCA ROCCA curry and…」に立ち寄り美味しいカレーを堪能した。

宇治上神社の後は京都駅に戻り、次は金閣寺を訪れた。

御朱印をいただくのはかなりの行列であった。

その後はホテルで夕食を楽しみながら一日の思い出を振り返った。

鹿児島への帰省

最終日は移動の日だった。6時59分に京都駅を出発し、7時29分に新大阪駅に到着。8時4分に新大阪駅を出発し、12時13分に鹿児島中央駅に到着した。

旅の思い出とともに阿闍梨餅の甘い味を楽しみ、京都の美しい冬の記憶を胸に、鹿児島の実家へと帰路についた。

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「埋もれた歴史を発掘・発信」をテーマに薩摩の地でイベント企画や商品開発、情報発信をしていました。( 山城の観光記念符「城郭符」や、歴史和菓子「雪窓院」を企画など)