それは2017年2月のこと。
突然、海が恋しくなった。
透き通るような美しい海ではない。人工物と共存し、非日常の風景が広がる海を求めて。
僕が向かったのは、JR鶴見線の海芝浦駅。
鶴見駅から約8分。電車を降りると、すぐに広がる海が目の前に現れる。
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この駅の改札を出ると、立ちはだかるのはTOSHIBAのビル。
そのため、関係者以外は改札を通ることはできない。改札を出なくても、ホームに降り立つだけで一度運賃を精算しなければならない。
TOSHIBAの関係者か、風変わりな旅人だけが訪れる駅。
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波音を聞きながら、行き交う船を眺めると、船旅への憧れが心に浮かぶ。
海に囲まれ、異次元に迷い込んだような感覚。都会の中に隠された秘境駅。
僕は、世界に取り残されたような気持ちになった。
人の気配が消え、静寂に包まれたこの場所で、幻想が広がる。
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