【群馬】山岳信仰の地 赤城山・榛名山・妙義山を巡る〜上毛三社詣の旅〜

「旅はどんなに私に生々としたもの、新しいもの、自由なもの、まことなものを与えたであろうか。旅に出さえすると、私はいつも本当の私となった。」(田山花袋『東京の三十年』)

はじめに

昔に、群馬に旅したときの話をしようと思う。

2016年11月、四季の旅のバスツアーで、群馬県にある上毛三山(赤城山・榛名山・妙義山)にそれぞれ鎮座する三社(赤城神社・榛名神社・妙義神社)を巡った。

6:45に新宿駅に集合し、7:00に出発、帰りは19:30頃に新宿駅に着き解散という旅程であった。当時は千葉県に住んでいたので4時台に起きて5時過ぎに家を出たのを覚えている。

自分一人で三山を巡るなら、一日では到底収まらない。山岳信仰の修行の場にバスツアーで向かうなど俗っぽいかもしれないが、僕的にはありがたいツアー企画であった。

当時の僕は旅に出る度にしおりを自作しており、今回もしおり持参でバスに乗り込んだ。

その旅のしおりは、旅程はもちろんのこと、行く予定の場所の説明(神社なら御由緒や歴史等)や御朱印情報、マップ等を記載していた。記念スタンプを押したりメモしたりと旅に欠かせない相棒。

1.赤城神社

上毛かるたで「裾野は長し赤城山」と紹介されている赤城山。

裾野は長しというくらい傾斜地だからか風がものすごく強かったのを覚えている。

赤城神社は赤城山を祀る神社であり、主祭神に赤城大明神・赤城山と、湖の神を祀っている。古来より人々の守護神として信仰されてきたそう。

もらった資料やWikipediaによると、信仰は太古に遡り、設立年代は不詳だが、大同元年(806年)に小沼から見上げる神庫岳(地蔵岳)の中腹より、大沼の畔に遷宮されたとの記録があるらしい。

朱色が鮮やかな拝殿。

お賽銭箱には神社紋が。桐に菊に葵。

御朱印

「奉拝」・「赤城神社」・日付の文字と、上毛野國赤城山頂・名神大社・赤城神社・延喜式神社の朱印がデザインされている。

また、御朱印帳が綺麗だったので購入した。「十二単赤城姫織込柄」だ。

■赤城姫とは?

赤城姫は、赤城山や神社による多くの伝説がまとめられた『神道集』に収められた話の一つみたいだ。

現代では、姫物語として、淵名姫・赤城姫・伊香保姫が地域おこしのキャラクターになっている。

赤城姫(引用:群馬県サイト『群馬県中部管内の地域資源「赤城三姫物語」』)

マップ

2.榛名神社

上毛かるたで「登る榛名のキャンプ村」と紹介されている榛名山。

キャンプや観光を楽しむ榛名山もかつては修行の場であった。

榛名神社は、榛名山を祀る神社でどんな願いも叶えてくれるという万能の神社と言われている。主祭神は火産霊神と埴山姫神。

近世は、榛名山巌殿寺・満行宮と称していたが、明治の廃仏毀釈の流れにより、榛名神社の社号になった。

七福神

参道には矢立杉や七福神なども出会える。

矢立杉
日がさすと紅葉が綺麗

双龍門は紅葉とも相まって美しい景色であった。

名前がかっこいい双龍門。

本殿は後ろの御姿岩と接しており、御姿岩が本殿、本殿が拝殿なのかなとも思った。

御姿岩はカメラに収まらなかった。

御姿岩を見上げると、体を顔が別れているのがわかる。

社務所ではぐんまちゃんと榛名神社のコラボスタンプがあった。

榛名神社の周りは観光地化されており、ごはん処が多く立ち並んでいた。

群馬名物の焼きまんじゅうを初めて食べたが、予想以上に美味しかったのを覚えている。群馬県民のソウルフードだ。

御朱印

御朱印は、「榛名神社」・「奉拝」・日付の文字と、上毛▲▲(不明)・榛名神社の朱印のデザイン。

マップ

3.妙義神社

上毛かるたで「紅葉に映える妙義山」と紹介されている赤城山。

僕たちが到着した時は紅葉が映えるというよりは、薄暗く異世界感が漂っていた。

妙義神社は妙義山の東麓に鎮座し、妙義山信仰の中心となっている神社である。

御祭神は、日本武尊・豊受大神・菅原道真公・権大納言長親卿。創建は「宣化天皇の二年(537年)に鎮祭せりと社記にあり、元は波己曽の大神と称し、後に妙義と改められた。

近年は「義経」や「天地人」等の大河ドラマのロケ地としても使用されているみたいだ。

拝殿まで行くには階段を結構登る。

門の装飾も立派だ。

本殿の装飾も色鮮やか。

境内の石塔

本殿や門には色鮮やかな木彫りの神獣たちがいる。

御朱印

御朱印は、妙義神社・日付の文字と、上野國妙義山・妙義神社・妙義山▲▲▲(不明)とのデザイン。

マップ

おわりに

今回は信仰の対象となっている上毛三山に鎮座する三社を紹介した。

人々の信仰があり修行の場であった上毛三山。

過去と形態は異なっているが、今の時代も訪れるのに不便な山に頻繁に人が訪れるというのは奇跡的なことではないか。群馬人の大きな遺産だと思う。

赤城姫の伝説を使っての地域おこしも気なるところ。

冒頭に記載した台詞は僕の好きな作家・田山花袋の言葉。田山花袋は旅好きであり、群馬出身の作家なので紹介した。

今回はバスツアーではあったが、旅に出ることは知らなかった情報に触れ、その土地の文化や歴史を知り、それがまた自分の未来を形作っていく材料になるんだと思う。

旅は新しいものをくれると同時に、自分から余計なものを削ぎ落としてくれ、普段意識しない自分と向き合うことができる。それ故、旅は本来の自分を呼び出す儀式なのだ。

なんて、山岳信仰の地を巡った後は色々考えてしまった。

では。

妙義神社にて

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ABOUTこの記事をかいた人

「埋もれた歴史を発掘・発信」をテーマに薩摩の地でイベント企画や商品開発、情報発信をしていました。( 山城の観光記念符「城郭符」や、歴史和菓子「雪窓院」を企画など)