2016年12月18日。冬の冷たい風が吹く中、私は18きっぷを手に、東京駅から旅立った。
目指すは栃木の足利と群馬の桐生。
鉄道での旅は、どこか懐かしい響きを感じさせ、胸の奥に微かな哀愁を呼び起こす。特に来年には関東を離れ、故郷の九州に戻ることが決まっているので、栃木と群馬の旅もこれが最後かもしれないと思うと、寂しさがこみ上げてきた。
東京駅から乗り込んだ電車は、小山駅で上毛線に乗り換える。車窓から流れる風景は次第に都会の喧騒を離れ、静かな田園風景が広がっていった。
足利駅に到着すると、すぐにタクシーに乗り込んだ。次の目的地は足利織姫神社だ。
「足利織姫神社までお願いします。」と運転手に告げると、彼は親切にも神社からのおすすめコースと、評判の蕎麦屋を教えてくれた。話を聞いていると、旅の興奮が一層高まる。車が目的地に到着し、運転手に感謝を告げながら足利織姫神社の階段へと向かう。
足利織姫神社の階段は229段もあり、足を一歩一歩上げるごとに息が上がる。
しかし、頂上にたどり着いた瞬間、眼下に広がる美しい景色が疲れを忘れさせてくれた。
拝殿は威厳を持って立っており、御朱印をいただいた時の満足感はひとしおだった。
神社の階段の途中にある蕎麦屋にも立ち寄る。運転手が薦めてくれた「幻の蕎麦 さらしな 生一本」を注文。
まるでそうめんのように細い蕎麦は、口に入れるとほどけるような感触で絶品だった。
次に向かったのは鑁阿寺。寺の境内では子供たちが鳩に餌をあげていて、賑やかな光景が広がっていた。
ふんが大量に落ちているのには苦笑したが、ここでも御朱印を頂くことができた。
再び足利駅に戻り、今度は桐生駅へと向かう。
桐生は以前からよく訪れていた場所で、どこか馴染みのある雰囲気が漂う。桐生駅に降り立つと、桃太郎という店に向かう。
桃太郎を訪れるのも何度目だろうか。店に入ると、あたたかい雰囲気と共に、ひもかわうどんの美味しい香りが迎えてくれた。特製のカレー南蛮つけ汁でいただくひもかわうどんは、ボリューム満点で腹ごしらえにはぴったりだった。
食事の後は、上毛電気鉄道に乗るため西桐生駅へ向かった。
電車はワンマン運行で、すべてのドアが開かないのが新鮮だった。中央前橋駅に到着し、駅スタンプを押す。スタンプ帳に刻まれた印は、旅の思い出を色濃くしてくれる。
中央前橋駅から前橋駅までは徒歩で移動。
前橋駅から高崎駅へと進み、ついに目的の一つであった上毛かるたを購入する。教育にも使われているこのかるたは、前から欲しかったものだ。
高崎駅から再び東京駅へ戻る。旅の終わりに立ち止まり、心に刻まれた記憶が淡いノスタルジーを帯びながら、一日の幕を静かに閉じた。
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