2015年3月28日のこと。私は青春18切符を片手に、春風に誘われるように旅立った。
目指すは群馬県、歴史の香り漂う富岡製糸場。
明治の息吹を今に伝えるこの地は、日本の産業革命の象徴として、ユネスコの世界文化遺産にもその名を連ねている。
新緑が芽吹き始めた春の日差しに照らされ、過去と現在が交錯する旅が始まる。
旅の始まり
朝9時過ぎ、私は東京駅に降り立った。ほんのり冷たい空気が肌に触れ、春の訪れを予感させる。青春18切符を手に、上野東京ラインの電車に乗り込むと、まるで時間が止まったかのような穏やかな空気が流れる。窓外に広がる景色が次第に変わりゆく様を眺めながら、11:41に高崎駅に到着した。
高崎から上州富岡へ
高崎駅でひと休み。駅周辺のカフェでオムライスを注文し、ふんわりとした卵とハヤシソースの絶妙なハーモニーを楽しむ。高崎でのごはんを堪能しながら、旅の情緒を胸に刻む。
13:00発の上信電鉄に乗り込み、約40分の小旅行。
上州富岡駅に降り立つと、駅舎は整然とし、静かな佇まいを見せる。
駅から富岡製糸場までは徒歩約15分。春の陽気に包まれながら、ゆっくりと歩を進める。
ご当地ヒーローとの出会い
富岡製糸場に向かう途中、観光客で賑わう広場に差し掛かると、そこには仮面ライダーのようなご当地ヒーローの姿があった。
彼は訪れた観光客向けにポージングをしており、子どもたちが集まり、一緒に写真を撮る姿が微笑ましい。まるで地域のマスコットのように、皆に愛される存在なのだと感じた。
富岡製糸場でのひととき
富岡製糸場に到着すると、無料のガイドツアーに参加。
約40分のツアーでは、建物の歴史や製糸の技術について詳しい説明を受ける。広大な敷地内には、当時の面影を色濃く残す建物が立ち並び、まるで時の流れが緩やかに感じられる。
特に心に残ったのは、木造の織機が整然と並ぶ作業場。触れることは叶わぬが、当時の人々の熱意と努力が今もなお息づいているかのようだった。
帰路につく
名残惜しい気持ちを胸に、製糸場を後にして再び上州富岡駅へ。高崎駅行きの電車に揺られ、夕方には高崎に戻る。
帰りの道中、少し贅沢をしてグリーン車に乗ることにした。780円の追加料金で、ゆったりとした座席に身を沈める。
窓外に広がる夕暮れの風景が、旅の終わりを優しく告げる。上野駅へ向かう電車の中で、旅の余韻に浸る。
終わりに
今回の旅では、富岡製糸場という歴史の息吹を感じる場所を訪れることで、日本の産業革命の一端に触れることができた。
青春18切符の旅は、ゆっくりと時間をかけて移動することで、その土地の風景や文化を深く味わうことができる。次はどこへ行こうか、そんな思いが胸に広がる。東京の夜景を眺めながら、新たな冒険への期待に胸を膨らませる。
この旅の記録は、また新たな旅のインスピレーションとなるだろう。さあ、次はどんな冒険が待っているのか、楽しみだ。
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